私は長年、REALFORCEのテンキーレスを愛用していました。打鍵感は最高。しかし、デスクの上でどうにも場所を取る。マウスの可動域が狭く、ふとした瞬間にキーボードの側面にマウスがぶつかる。この小さなストレスが、私の集中力を削いでいました。
「もっとコンパクトなキーボードが欲しい」。そう思いながらも、70%という特殊な配列には強い抵抗がありました。価格も決して安くはありません。しかし、結論から言います。REALFORCE RC1(45gモデル)は、私の作業環境を根本から変えた「最高の投資」でした。

なぜ私は、高価な「70%配列」を選んだのか?
私の悩みは明確でした。デスクの占有率です。テンキーレス(TKL)ですら、マウスを多用する作業(画像編集やリサーチ)では邪魔に感じる。かといって、HHKBのようなさらにコンパクトなモデルは、独立した矢印キーがない点がどうしても譲れませんでした。
そんな中、登場したのがこの「REALFORCE RC1」です。70%という絶妙なサイズ感。独立した矢印キーと、ファンクションキー列(Fnキー併用)を両立している。まさに私が求めていたレイアウトでした。
しかし、懸念もありました。多くのレビューで指摘されている「右シフトキーの小ささ」 と、黒いボディに黒い刻印の「視認性」 です。そして、何より3万円を超える価格。これを乗り越える価値があるのか。私は、思い切って自分への「生産性への投資」として購入を決めました。
最初の壁:REALFORCE RC1の「慣れ」が必要な点
正直に告白します。使い始めた最初の3日間は、ミスタッチの連続でした。
特に、私を苦しめたのが、やはり「右シフトキー」です。従来のキーボードの感覚で小指を伸ばすと、そこには「↑」(上矢印キー)がある。何度も「あ!」と声を上げました。
また、70%レイアウトの恩恵でマウスまでの距離は近くなったものの、その代償としていくつかのキーが変則的になっています。この「指が覚えた位置とのズレ」が、想像以上のストレスになったのは事実です。
しかし、それ以上に私を魅了したのが、次に語る「打鍵感」でした。
壁の先にある真価:45gが奏でる「至高の打鍵感」
このキーボードの心臓部、静電容量無接点方式のスイッチ。私が選んだ45gの押下圧は、まさに「完璧」でした。
軽すぎず、重すぎない。指を乗せると確かな存在感があり、押し込むと「スコッ」と沈み込む。底打ちした時の「コトコト」という上品で低い音 は、思考を妨げず、むしろ心地よいリズムを生み出します。30gモデルの軽快さも魅力ですが、私はこの45gの「タイプしている」という確かなフィードバックが、長文を書く上で欠かせない感覚だと再認識しました。
この打鍵感の素晴らしさは、言葉で説明するよりも映像で見るのが一番です。以下の動画は、このRC1の打鍵音と、私が格闘した「クセのある配列」 の両方を的確にレビューしています。私が感じた「これだ」という感覚が伝わるはずです。
70%がもたらした「生産性の解放」
あんなに苦しんだ特殊配列も、不思議なもので、人間は1週間もあれば適応します。
デスクが広くなる、だけではない。マウス移動の最適化
70%レイアウトがもたらした最大の恩恵は、デスクの物理的な「空きスペース」だけではありませんでした。
それは、「キーボードのホームポジション」と「マウス」の距離が劇的に縮まったことです。この「腕の移動距離の短縮」が、これほどまでに作業効率を上げるとは思いませんでした。コーディング、文章執筆、リサーチ。キーボードとマウスを行き来するあらゆる動作が、滑らかにつながる。まさに「思考が途切れない」感覚です。
あなたの「書く」を加速させる投資
REALFORCE RC1は、単なる「モノ」ではありません。それは、あなたの時間と思考を最適化するための「ツール」です。
確かに高価です。そして、最初の1週間は、あなたも私と同じように右シフトキーに苦しむかもしれません。しかし、その小さな壁を乗り越えた時、手に入るのは「圧倒的な集中力」と「快適さ」です。
毎日PCに向かう時間が長い人ほど、このキーボードがもたらす価値は大きくなります。
本日のまとめ
REALFORCE RC1は、「万人が手放しで絶賛するキーボード」ではないかもしれません。しかし、そのクセを理解し、乗りこなした者だけが味わえる「最高の領域」が確かに存在します。
- 70%レイアウトがもたらす、マウス操作とのシームレスな連携。
- 45gの押下圧が奏でる、思考を深める心地よい打鍵感。
- 変則的な配列は、1週間の「慣れ」を必要とするが、乗り越える価値は十分にある。
- 高価だが、それは日々の生産性を高める「コスト」ではなく「投資」である。
もしあなたが、私と同じように「デスクを広く、思考を深く」したいと願うなら、このREALFORCE RC1は、考えうる限り最高の答えの一つです。

